RICOH GR IIIを語る

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2019年3月、RICOH GR IIIというカメラが発売されました。GRはカメラ好き界隈ではなかなか名の知れたブランドで、とても明確なコンセプトで20年以上も続いています。GR IIIはその最新機種です。

GRはカメラとしてどこに魅力があるのか。一度にいま思うすべてを語ります。長いです。GRと言ったときにGRというブランド、カメラのことを言ったり、GR IIIのことを意味したりしますが、お読み取りください。

GRは超軽快な速写カメラ

GRはスナップシューターと言われます。メーカーもそう言っています。ではスナップシューターとは何なのか。

写真にはスナップというジャンルがあって、それに特化したカメラということのようです。スナップは街中の一瞬を捉えるような写真です。風景を撮るなら一眼レフだよね、的な感じでスナップならGRだよね、と。一瞬を捉える写真だから速写性が大事。

しかし、なるほどGRはスナップ用なのね、と思われてしまうとしたらとてももったいない。

速写性は別にスナップに限らず、写真を撮るにあたってどんな場面でも、どんなジャンルでも有利になります。時間をかけるのはどんなカメラにでもできる。でも、「すぐ撮る」を実現するには、

  • 常に手元にある(大きいと持ち歩きにくいとか、鞄にしまっていてすぐに取り出せないとかダメ)
  • カメラをかまえて電源を入れて、すぐシャッターが切れる(大きくてかまえるのに一呼吸いるとか、カメラの起動が遅いとかダメ)
  • すぐに撮りたい設定にできる(メニューの動作が遅いとか、カスタマイズできなくて自分の癖に対応できないとかダメ)

ざっと見てもこれだけの要素が必要になります。持ち歩きやすさ、構えやすさ、起動の速さ、快適な操作。これらがしっかりまとまって「速写性」になります。

すべての操作が右手でできる。指を動かしやすいボタン配置。

GRはそうしたところにこそ気を配っていて、小型軽量、なじみやすいボタン配置、軽快な動作を備えて速写性を追究しています。

小型軽量なのに最高級の安定性と画質

SS1/8秒。手持ちでも滝の流れを作れる。

GR IIIでは手ぶれ補正機能がつきました。実際に使ってもシャッタースピード1/8でしっかり撮れます。うまくやれば1/4でも。ここまで強力だから、普通に撮るときでも安心です。

で、画質。何を以て画質の善し悪しを語るのか、私にはよくわかりません。レンズの歪みの程度、シャープネス、色合いなど、また光学(ハード)的、ソフト処理的、いろいろな観点がありそうですが、単に私の好みの感覚で言えばGR IIIは、

  • とてもシャープな描写。細部まで緻密。
  • 立体的に感じる。
  • 色合いが落ち着いていて、しっとり。カラーもモノクロも。でもビビッドに設定すれば鮮やか。

という写真が撮れます。2400万という画素を扱ったことがないので、特にシャープなどは単に画素が多いからなのかはわかりません。でもとにかく、その空間に引き込まれるような描写だと思います。

で、特に色合い。とても好みです。初代GR(APS-C)も落ち着いた色合いではありましたが、GR IIIはそれに多少艶やかさが加わった、という印象です。このバランスがとてもいい。場合によっては極端なほど鮮やかな写真が好まれる現代にあって、決して万人受けする表現ではないと思いますが、写真をじっくり見ようとしたときにはじわりと染み込んでくる色合いだと思っています。私はさらに微調整して、彩度を下げ気味にしています。

白黒もいい。GRの白黒と言えばハイコントラスト白黒が代名詞的な表現になっていますが、私が使うのはソフトトーンです。全体的にソフトだけど、ある部分はしっかり濃度を持ってくれるから引き締まります。

こうした高(好)画質が、ごく小さなボディに収まっているというのがとても大きいポイントです。

単焦点レンズに特化した一眼レフカメラ

まあ変な表現ですが、言いたいことは伝わるかしら。「一眼レフカメラ」は高画質カメラの代名詞と思ってください。

GR IIIは35mm版換算で28mm相当の単焦点レンズです。レンズ交換はできません。でも一眼レフカメラにも使われるAPS-Cサイズのセンサーに専用に設計されたレンズと画像処理が合わさって、相互に「特化」した設計になっている(はず)。

だから「28mmレンズで撮る」ことに限ってみれば、一眼レフカメラと同等かそれ以上の描写になると思っています。しかも、前述のとおり小型軽量という代え難い(一眼レフが敵わない)アドバンテージを持っています。

レンズ交換できない最大の不便というと「ズームできない」。しかしそれを不便と思われるなら、スマートフォンのカメラを考えてみるといい。スマートフォンで写真を撮るとき、ズームがなくて「撮れない!」と思うことはあまりないと思います。撮れなければ前後に動くか、撮った後でトリミング(拡大)するか、潔く諦めるかです。案外、撮れるものを撮れる範囲で撮る、という判断(諦め)は自然にできるものです。

本当にアップで撮りたいなら、35mm相当、50mm相当のクロップもできます。高画素だからクロップしても十分な画素数が確保できます。

GR IIIのカタログから見えること

GR III発売前、そのカタログが話題になりました。ほぼ全編、GR IIIで撮った写真。見開きでスペック表があるのみ。ほとんど写真集です。GR IIIとはどんなカメラか、どんな機能があるのかはほとんどわかりません。写真を見て、「こういうものが撮れる」と読み取ることが精一杯。

メーカーの方はこのカタログの構成を「ユーザーのインテリジェンスを信じる」というように言っていました。その意味合いはいろいろ解釈できそうですが、確実なその一つはメーカーも言っている「GRはカタログスペックで勝負しない」ということ。

これまで書いてきたように、GR(GR III)にはカタログではわからない性能がたくさんあります。レンズの構成、画像処理エンジン、手ぶれ補正機能といった文字を書けば書くほど、GRが持つ無形の性能が見えなくなってしまう。それよりは、もしかしたら伝わらないかもしれないけれど、「こういう写真が撮れるカメラだ」と伝えたい。このカタログの「販促」はそこではないかなと思っています。

GRというものがブランドになっていて、ブランドだからこそ世界観を作る必要があるし、世界観から何かを伝えることができる。カメラは一つの市場ですが、ブランドとして確立されているシリーズはなかなかありません。GRはそれがあり、それを生かした伝え方があるのだと思います。

そして、自己満足の世界ではありますが、そういうカメラを持つというのは、たしかに写欲をかき立て、またGRでしか撮れない写真を撮ろうと思わせてくれるものです。

寺社撮影機材としてのGR III

これについては別に詳しく書こうと思いますが、実は最適です。もちろん望遠レンズで撮れる世界もあるから万能ではないけれど、寺社撮影は、

  • 大きな建造物が多いので広角寄りがよい。
  • 敷地が広かったり、複数箇所巡ったりで移動距離が長いので小型軽量は体力的にとてもメリット

ということで、かなり適したカメラだと思っています。寺社参拝は写真撮影も楽しいけれど、本質は参拝。大きな機材はどうしても心と足を引っ張ります。

最高のカメラ

根本的に、万能のカメラというものはないと思っています。ときには一眼レフカメラでは撮れないものがスマートフォンで撮れたりします。写真は単に画質だけでなく、シャッターチャンスに巡り会うことも、撮る意欲をかき立てるカメラであることも重要です。

GR IIIはコンパクトデジタルカメラであることの制約さえ受け入れられれば、単焦点レンズのカメラとして最高です。すべてを撮ることはできないけれど、工夫次第で8割は撮れる。もちろん、私の使い方(寺社撮影、散歩)でですが。


さて、長々と書きました。なかなか偏った記事とは思いますが、GR IIIを(ある意味別の視点で)見ることができたならいいかなと思います。そして何より、よく歩きよく撮る寺社散策にこそ、GR IIIは最適だと思うのです。

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